ジャズの名盤 *ジャズに詳しい方、「あれっ、ケニー・クラークが入ってないじゃないか。(またはマックス・ローチが、バディ・リッチが入ってない)」などと言わないでくださいね。 Contents私が初めて知ったジャズのドラマーはアート・ブレイキー(1919-1990)でした。中学生の時、1963年にアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャ-ズの来日公演があることを知りました。(ポスターをじっと見つめた記憶があります)その頃は私はジャズがどんなものか知りませんでした。しかし、名前を覚えただけで、実際にその演奏を聴きに行くことはありませんでした。中学生が一人で多分高価であったであろうチケットを買って、ジャズを聴きに行くことはハードルが高いものだったのです。しかし同じ中学3年生だった村上春樹はちゃんと聴きに行っているのですね。著書「ポートレイト・イン・ジャズ」で聴きに行った時のことを書いています。ーーーアート・ブレイキーはメンバーを変えながらもその後も長くこのバンドを維持し続け、メッセンジャーズはモダン・ジャズを代表するバンドであり続けました。アート・ブレイキーの名前はドラマーとしてより、そのバンドのリーダーとしてジャズファンの心に刻まれたかもしれません。ここで1曲。有名な「モーニン」Moanin’ のオリジナルの演奏を。 もう1曲。時代は一気に30年ほど後の1989年。日本のマウント・フジ・ジャズ・フェスでのライブ映像です。 曲はこれもかっての大ヒット曲「ブルース・マーチ」 です。メンバーはもう若手の人ばかりで、Art Blakey:dsブレイキーのことが長くなりましたが、日本にジャズブームのきっかけを作った人ですから、特別です。ジーン・クルーパ(1909-1973)はブレイキーより1世代前のドラマーです。ベニー・グッドマン楽団での演奏が有名です。特に「シング・シング・シング」はいまだにビッグバンド・ジャズの代名詞のように言われています。ベニー・グッドマン時代の古い映像などもありますが、ここでは後年(1971年)の映像でジャズ・リジェンドたちが勢ぞろいしたものを見てみましょう。司会が歌手のメル・トーメ、ヴァイブ奏者のライオネル・ハンプトンとピアノがテディ・ウィルソンという組み合わせでのジーン・クルーパのドラミングが見れます。後半はズート・シムス(テナーサックス)、ロイ・エルドリッジ(トランペット)などが入った豪華メンバーでの演奏→ビッグ・バンドでの〈Sing,Sing,Sing〉などが入っています。さすがに一時代を築いたドラマーだと思わせてくれます。 バディ・リッチとのドラム合戦みたいな映像もありますが、、、それは止めておきましょう。 フィリ-・ジョー・ジョーンズではありません。パパ・ジョー・ジョーンズの方です。(1911-1985)この人の画像はアタマが禿げているものしか見たことがありません。若いころから禿げていたようです^^でもかっこいいいドラマーでした。クルーパと同じくらい古い人なんですが、結構新しい時代の演奏にも対応したようです。筆者が好きなジョー・ジョーンズのアルバムはこれです。↓さて次はもうトニー・ウィリアムス(1945/12/12–1997/2/23)です。数多くのジャズのドラマーの中で「天才」という言葉がもっとも相応しいのがトニー・ウィリアムスだと思います。 一つはその早熟性です。ディスコグラフィーを見ると、マイルス・ディヴィス・クインテットにアンソニー・ウィリアムスの名前が最初にクレジットされたのは〈Seven Steps To Heaven〉です。そしてそのしょっぱなからトニーは信じられないドラミングをしました。翌’64年のアルバム〈Four And More〉を聴いてみましょう。このドラミングは最高に新しく、かっこいいものだと感じられました。(私はドラミングの詳細について詳しくありませんので、そのテクニックのどこがどのようにかっこいいのかを説明することは出来ません。しかし、「聴けばわかる!」というレベルの新しさだったことは間違いありません)そして、ハービー・ハンコック(ピアノ)、ロン・カーター(ベース)、トニー・ウィリアムス(ドラムス)というリズム・セクションは最高にカッコいいバンドの最高にカッコいいリズム・セクションとして世界を魅了しました。動画でも見てみたいですね。この時でもトニーはまだ21才。 その超高速シンバル・ワークは驚きです。サックスはウェイン・ショーターですね。エルヴィン(1927-2004)です。トニー・ウィリアムスが天才であったなら、エルヴィンは「至上最高のジャズ・ドラマー」と言えるでしょう。トニーがマイルス・デイヴィス・クインテットで活躍した時に時を同じくして、エルヴィンはジョン・コルトレーン・カルテットのドラマーとして活躍しました。まさに時代は「コルトレーン、マッコイ・タイナー(ピアノ)、ジミー・ギャリソン(ベース)、エルヴィン(ドラムス)は黄金のカルテットと呼ばれました。コルトレーンが、そのサックスの音で空間を埋め尽くすように、エルヴィンはドラミングで空間を埋め尽くしてコルトレーンに呼応しているように聴こえます。エルヴィンの演奏はポリ・リズムと呼ばれ、4本の手足で異なったリズムを叩きだすと言われていました。1965年ベルギーでのライブ演奏を聴いてみましょう。1968年にエルヴィンが自己名義で出したアルバム〈Heavy Sounds〉というアルバムがなかなか良いアルバムでしたので、聴いてみたいと思います。ベースはリチャード・デイヴィス。サックスはフランク・フォスター。 タイトル通りへヴィーな音です。 ジョー・モレロ(1928-2011)を知ったのは、勿論デイヴ・ブルーベック・カルテットのドラマーとしてです。盲目のドラマーと書かれることが多いようですが、かなりの弱視ではあったけど完全に盲目ではなかったようです。サングラスをしている映像も多いようですから、段々に悪化したのかもしれません。それはともかくデイヴ・ブルーベックのグループの成功の大きな要因の一つがモレロのドラムにあったことは間違いないでしょう。特に世紀の大ヒット〈Take Five〉のドラムを聞けば、この曲の成功がモレロのドラム無しではあり得なかったことが分かります。この曲のリズムは5/4拍子でした。 (カウントは1,2,3,1,2と取ると乗りやすいです。)このような変拍子の曲が大ヒットとなったことは少し不思議なことかも知れません。 モレロのドラミングにスポットした動画もありましたので、しつこいですがアップします。他に、モレロ名義で出た〈Collections〉というアルバムも大好きです。白人3大ドラマーのことを書きましたが、大ヒットしたアルバム「マイ・フェア・レディ」を聴いてみましょう。実にタイトなドラムですね。これぞモダンジャズ・ドラミングという感じです。シェリー・マンが背後からヒシ、ヒシ、ヒシとシンバルを叩けば、紛れもなくジャズが始まると感じさせてくれます。シェリー・マンが人気があったのが良く分かります。動画でも見てみましょう。1962年、TV出演時動画とのキャプションがあります。 私が愛聴しているシェリー・マンのアルバムは以下の5枚シリーズのCDです。↑これがVol.1でVol.5 まであります。 色んな褒め方があるのですが、その幅広い活躍は周知のことですが、特にキース・ジャレット・トリオのドラマーとしても有名です。ディジョネットは「押しも引きも出きる」ドラマーですが、ここではブラジル出身のピアニスト、イリアーヌ・イリアスのバックを務めている画像がありましたので、それをアップします。ベースはビル・エヴァンズ・トリオ、最後のベースだったマーク・ジョンソンです。3人の魅力が味わえるステキな動画です。 そしてディジョネットの魅力を知るにはやはりこのような動画が適切かと思いますので、アップします。 Pat Metheny, Herbie Hancock, Dave Holland, Jack DeJohnette での Cantaloupe Island (1990)です。 このメンツはパラレル・リアリティーズですね。ディジョネットを「現代最高のドラマー」と呼んだのですが、それに劣らない活躍をしてるもう一人の現代ドラマーがスティーブ・ガッドです。「フュージョン最高のドラマー」と呼んでもいいのですが、その範疇に収まり切れないほどの実力を持ったドラマーだと思います。自己のバンド THE GADD GANG のライブ映像を見ましょう!このメンバー、コーネル・デュプリー(ギター)、リチャード・ティー(キーボード)、エディ・ゴメス(ベース)、ロニー・キューバ―(バリトンサックス)というメンバーは実に魅力的です。本来ならもう少し新しい、近年のガッドを紹介すべきでしょうが、先ほどのメンバーでやっている 〈My Girl~I Can’t Stop Lovin’ You> というメドレーも是非聴いて頂きたいもので、同じメンバーでの2連発アップにします。 なお近年のポール・ボーレンバック(ギター)、ジョーイ・デフランシスコ〈オルガン)を加えたグループもすごくイイのでCD紹介します。 最後は敬意を評してロイ・ヘインズにします。何と1925年生まれの現役ジャズ・ドラマーです。チャーリー・パーカーとの共演経験がある最後の一人。さまざまなレコードにその名前が刻まれています。↓1966年スタン・ゲッツとの共演映像です。バスドラ、スネア、ハイハット、シンバルをフル回転で叩くヘインズの雄姿です。●そして2009年84歳での映像です。しかもジョン・パティトゥッチ(べ-ス)デイヴ・キコスキー(ピアノ)という全く現代を代表するプレイヤーを擁しての Roy Haynes Trio です。 スペインでのライブ。*ラテン圏(フランス、スペイン)などでは、ドラムのことをバッテリと呼びますね。 10人に限定してジャズ・ドラマーをまとめてみましたが、それでも壮観なことになりました。当然のことですが、ドラマーの歴史がジャズの歴史になっています。最後に、他に挙げたかったドラマー名を列記します。 \フォローお願いします/微笑みの国タイの「いいかげんさ」と「寛容さ」そして日本人の非寛容と窮屈さ沢木耕太郎の2冊の映画エッセイ『世界は「使われなかった人生」であふれている』『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。13人の購読者に加わりましょう