カトリーヌ・ド・メディシスからスコットランドのメアリー女王、そして英国エリザベス1世へと渡った真珠の物語です。 ダイヤモンドは磨かなければ輝かないけれど、真珠は貝から取り出したときから、そのオーロラ色の光を放ち、自然界からの贈り物として古来から人々を魅了してきました。 15世紀末、カトリーヌ・ド・メディシスは、叔父の教皇クレメンテ7世から「ローマ教皇の真珠のネックレス」と呼ばれるナツメグほどの大きさの真珠25個を含めた真珠の6連のネックレスを贈られました。 ヨーロッパがプロテスタントとカトリックの対立が激化していた16世紀、カトリーヌはこのネックレスをスコットランドのメアリー女王がフランスのフランソワ2世と婚姻したときのお祝いとして贈ります。メアリーの装いを常に意識していた従姉妹のエリザベス1世は、1583年メアリーが投獄された際にこれを手に入れるのです。 その後エリザベス1世の命令でメアリー女王は処刑されるのですが、このネックレスはヴィクトリア女王やアレクサンドラ王妃の手に渡り、現在は英国王室コレクションに収まっています。 エリザベス一世は、なぜこのようにゴージャスに大量のジュエリーを身にまとうようになったのでしょうか? ファッショナブルで浪費家だった母アン・ブーリンや宝石好きの父の影響もあったかしれませんが、実はエリザベスは、“メアリー・スチュアートこそが正当なイングランド王位継承権を持つ者”と脅威を抱えていたのです。だからこそ、メアリーの服装や容姿の情報を収集し、彼女に劣らぬ装いをしていました。華やかなメイク、圧倒するようなレースの衿に髪飾りにイヤリングにネックレス……。このようなスタイルでが彼女が強力なライバルに勝つための戦闘服だったと言えるかもしれません。 自分自身に確固たる“自信”を持たせてくれる宝石、真珠。それは今も昔も変わらないのかもしれません。 真珠に関連する記事:写真=MIKIMOTO,Getty Images翻訳=山下千智文=栗林絵美子 ジュエリーを受け継ぐという幸運に恵まれた人なら誰しも、そのジュエリーの大きさとは関係なく、先祖伝来の品に込められる想いというものの価値を知っているだろう。しかし宝石箱の中身が国際的財宝だったとしたらどうだろう?女王が最も愛用するジュエリーの一つが、1947年の結婚式で着用されたダイヤモンドが散りばめられたエレガントなティアラ。このティアラの一部は、婚礼を数時間後に控えた時に折れてしまったことでも知られる。女王のコレクションにはまた、戴冠式で用いられた王冠も含まれる。大英帝国王冠に使われているダイヤモンドのうちの一つカリナンの大きさはなんと317カラットである。女王は公式の場ではネックレス、イヤリング、そしてもちろんティアラがセットになった装身具を着用する。「グラニーのティアラ」と愛情を込めて呼ばれる冠はイギリス通貨に描かれている女王がかぶっているもので、1983年にバングラデシュを訪問した時も、最近では2015年にドイツを訪問した時もこれを着用。また、ジュエリーに合わせるスタイリングは、キラキラしすぎるものより、控えめなアイテムを好んで着用する。仕上げは常にブローチ。例えば花 (水仙)の形をしたピンクダイアモンドを襟元の高い位置にあしらったりする。また、エリザベス女王といえば真珠のネックレスだろう。数え切れないほどのパールネックレスを持っているが、お気に入りは幼い頃に祖父ジョージ5世から贈られた比較的控えめな一品。ジュエリーはどんなものであっても人と人との絆によって、あらゆる価値を超えるものになるのだということを教えてくれる。1954年にバッキンガム宮殿で撮影された一枚。エリザベス女王は、ミモザ&ゴールド刺繍とブルーリボンがあしらわれたイエローチュールのイブニングドレスを纏った。結婚にプレゼントされたネックレスやティアラ、ブローチ、ピアスなどで華やかに。1976年、光り輝くダイアモンドのティアラとネックレスでフィンランドを訪れた。イヤリングは公務でアメリカを訪れた1976年。パール&ダイヤモンドがあしらわれたティアラとジュエリーにグリーンのドレスを合わせて、シンデレラのような輝きをみせた。1988年にインドで開かれた祝宴に、淡いブルーのシアードレスで出席。ティアラにサファイアとダイアモンドのカリントン & カンパニー(CARRINGTON & COMPANY)のジュエリーでブルーのコーディネイトに。結婚式に父ジョージ6世から授かった。フィリップ殿下とともにフランスを訪れた1992年。ホワイトドレスにカタールの元首相ハリーファ・ビン・ハマド・アール=サーニールビーから贈られたダイアモンドのネックレスがぴったり!1998年、ブルネイのラジオ局を訪れた2002年、ウェストミンスター寺院にて行われた国会開会式のスピーチ。父ジョージ6世の戴冠式のために造られたダイアモンドのティアラと、ファーと刺繍をほどこしたクリームサテンのドレスが女王のオーラを感じさせる。普段は父の命日を静かに過ごすエリザベス女王だが、即位50周年の歳となった2002年には公共の場に姿を現した。癌が原因で亡くなった父を思い、クイーンエリザベス病院のマクミラン癌センター研究所へ。穏やかなイメージのグリーンにワットルの木のブローチを添えた。ビシャム・アビー・ナショナル・スポーツ・センターの訪問では幸せそうな笑顔を見せた。胸にはフラワーバスケットのブローチが。フィリップ殿下とともにマルタ島へ。マルタの元大統領エドワルド・フェネク・アダミとのディナーには、ティアラやルビー&ダイヤモンドのジュエリーでオリエンタルな雰囲気を醸し出した。数日間滞在したマルタ島の一日。淡いブルーのコーディネイトに合わせたアクアマリンのクリップブローチは、アクアマリンとダイヤモンドの豪華なティアラをした女王。色で合わせたネックレスとイヤリングは、1953年にブラジル大統領より贈られたMAPPIN & WEBB(マッピン&ウェッブ)のデザインだ。2012年7月、即位60年を祝うダイヤモンド・ジュビリーのためイギリスのワイト島を訪れた。25日間で10の地域を回ったこの旅では、ヘルシーなピンクのアンサンブルに霧で覆われたヒマワリのブローチを。公務でパリを訪れた2014年。エトワール凱旋門にて開かれた歓迎会仕様で選んだのはウィリアムソン・ダイヤモンドのブローチ。2015年3月、アフガニスタンの戦闘で亡くなった兵士への追悼セレモニーに出席したエリザベス女王は平和を意味するブルーをチョイス。11個のパールがあしらわれたヴィクトリア女王のブローチを付けた。2015年6月にドイツを訪問したエリザベス女王。ネックレスやイヤリングは大綬にあわせて、ダイアモンドとルビーを選んで白と赤のコーディネイトを仕上げた。2019年12月、バッキンガム宮殿で主催した各国大使や政府高官など外交団のためのレセプションには、祖母であるメアリー王妃から受け継いだウラディミール・ティアラを着用。ネックレスとイヤリングも、ティアラに合わせたエメラルドのものを選んだ。Text: Ross AstonPR | TRILL SelectPR | TRILL SelectPR | TRILL Selectあなたの「プライドタイプ」診断!あなたは小型犬?それともハムスター?ペットタイプ診断これから訪れる!? ダイヤモンドは磨かなければ輝かないけれど、真珠は貝から取り出したときから、そのオーロラ色の光を放ち、自然界からの贈り物として古来から人々を魅了してきました。カトリーヌ・ド・メディシスからスコットランドのメアリー女王、そして英国エリザベス1世へと渡った真珠の物語です。