ガンダム オリジン インタビュー
『ガンダム the origin』が“わかりやすい”わけ 『機動戦士ガンダム the origin』とは、『機動戦士ガンダム』(ファーストガンダム)でキャラクターデザイン、アニメーションディレクターを務めた安彦良和が、本作を新たに解釈し直して描いた漫画作品。

「ガンダム ジ・オリジン、続編制作はされず第6話で正式終了へ…。」ろあの~く。のブログ記事です。自動車情報は日本最大級の自動車sns「みんカラ」へ! 『機動戦士ガンダム』最初のシリーズ、いわゆる“ファーストガンダム”を再構成する『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』。そのアニメ最新作「激突 ルウム会戦」が2017年9月2日(土)より劇場上映をスタートさせます。ファーストガンダムのファンを中心に支持されるこのシリーズですが、やや幼いガンダムファンの目にはどう映ったのか? 後追い世代による率直な気持ちをレビューしました。文 / 柳 雄大『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』とは、『機動戦士ガンダム』(ファーストガンダム)でキャラクターデザイン、アニメーションディレクターを務めた安彦良和が、本作を新たに解釈し直して描いた漫画作品。この『ガンダム THE ORIGIN』が全6回のアニメシリーズとなり、2015年から劇場上映とBlu-ray/DVDでのリリースを続けています。結論から言うと、このアニメシリーズ版『ガンダム THE ORIGIN』は、筆者にとって面白く、わかりやすく、かつ“一番最初に観ても大丈夫なガンダム”になっていました。ファーストガンダムはもともと、物語の時代背景や戦争の状況、劇中に出てこない人物などの設定が複雑な作品です。それらを想像・補完しながら楽しめる“深み”が大人も惹きつける魅力のひとつかと思いますが、『ガンダム THE ORIGIN』ではファーストガンダムで直接描かれなかった設定や場面を映像化しているのが特徴。アムロ・レイやシャア・アズナブルがファーストガンダムに初登場する以前の様子をていねいに見せることで、彼らのバックグラウンドをより理解しやすくしています。1983年生まれの筆者にとって、ガンダムとの出会いといえば「SDガンダム」、リアルタイムで観たTVシリーズは『機動武闘伝Gガンダム』『新機動戦記ガンダムW』など90年代の作品。今振り返ると異色と言われる作品も多かった時期です。結果、この世代ではガンダムそのものにはなじみ深いものの、ファーストガンダムはちゃんと観たことがない……という人も少なくありません。そんな後追い世代の目に映るファーストガンダムは、“教養”が必要そうな、難しい戦争のアニメという印象が根強くあったのです。もちろん、その上で筆者も大人になってからファーストガンダムを観て、楽しめるようになりましたが、『ガンダム THE ORIGIN』はよりスムーズになじめるシリーズだと感じました。『ガンダム THE ORIGIN』では、ファーストガンダムの登場人物たちの生き方……特に“赤い彗星”のシャアが戦いに赴く動機がはっきりと描写されています。特に第1話「青い瞳のキャスバル」~第4話「運命の前夜」は、シャアと妹のセイラの生い立ちをクローズアップしており、シャアが現在も不動の超人気キャラである理由の一端を感じられるエピソードになっています。セイラ・マスまた、シャアとの因縁がある“ザビ家”を中心にサブキャラクターたちも深く掘り下げ、それぞれに感情移入しやすくしたのも本作ならでは。個人的にはザビ家の三男ドズル・ザビが興味深い存在で、『機動戦士ガンダム』で登場する以前に、彼にはこれだけの物語が積み重ねられていたのか! と感心します。ガンダム(地球連邦軍)と敵対するジオン軍側の人物をじっくり見せることで、彼らにも彼らなりの生きざま、事情があったと理解できる。こうして、いわゆる勧善懲悪ではないガンダムという作品の真髄に触れることができるのです。ドズル・ザビちなみに本作ではキャラクターを感情豊かに描くため、時にはややオーバーに、コミカルに表現した部分があるのも特色。これらは、ファーストガンダムを見続けた熱心なファンにとっては一部で賛否もあるようです。ただ「ガンダムはこうだ!」という強い固定観念がなければ、ないなりに感情移入がしやすく、アニメとして受け入れやすい描き方とも感じます。特に、先述のドズル・ザビは地球連邦軍の敵側の人物ですが、このドズルが思わず感情移入を誘うキャラとして描かれていることは、『ガンダム THE ORIGIN』を面白く、わかりやすくするために重要な演出になっています。今さらこんな表現をするのも恐れ多いですが、『ガンダム THE ORIGIN』は最新のロボットアニメとしても当然魅力的です。第4話「運命の前夜」以降で本格的に登場するモビルスーツは、現代らしいディテールを加えた緻密なメカデザイン、3DCGを駆使したアニメーションで躍動。モビルスーツ誕生までの経緯が明かされる第4話までに対し、最新作「激突 ルウム会戦」では、いよいよ「ザクII」が量産化され大活躍します。ただし新しくなってもファーストガンダムのモビルスーツとしての印象は逸脱していなくて、“解像度が上がった”という感覚で見ることができました。MS-06C ザクII最新のグラフィック、作画で魅力を最大化した『ガンダム THE ORIGIN』。40年近く前の作品であるファーストガンダムを「なかなか今から観る気になれなくて…」と思っていた人にとっても、この新しい映像によって“入りやすく”なったことは間違いないでしょう。最新作となる第5話「激突 ルウム会戦」は、ファーストガンダムの物語が始まる直前、宇宙世紀0079年初頭のエピソード。前日譚としての色合いがより強かった第4話までに比べ、いよいよ本題に突入していくというような興奮の場面となっています。中でも最大の見どころは、戦争を泥沼化させる最大の原因としてファーストガンダムの冒頭で紹介される、有名な“コロニー落とし”。地球に住む人類の約半数を消し去る大質量兵器の迫力、酷さ、そして恐怖……。これはぜひ、劇場の画面と音響で味わいたい場面でもあります。さらに、シャアにまつわる“赤いヤツは3倍速い”という逸話が生まれるシーンもこの第5話で登場。ファーストガンダムのファンを裏切らないであろう、ゾクゾクするような映像が待ち受けています。さて、そんな最新作を鑑賞するにあたっては、これまでのエピソードはぜひおさらいしておきたいところ。第1話「青い瞳のキャスバル」~第4話「運命の前夜」は「バンダイチャンネル」や「Amazonプライム・ビデオ」といった動画見放題サービスでも配信中です。各回60分前後なので、今からの予習でも無理なく追いつけるはず。『ガンダム THE ORIGIN』は、往年のファンにとって多くを補完してくれる作品ですが、それだけで終わるにはもったいない作品でもあります。ファーストガンダムの懐古という意味を超えて、ぜひ多くの人に届いてほしいと思います。© 創通・サンライズ2017年9月2日(土)~9月29日(金) 全国35館にて劇場上映【4週間限定】2017年11月10日(金)発売 1万円(税込)◆上映劇場にて9月2日(土)最速先行販売開始