核酸医薬 遺伝子治療 違い
技術情報協会/2017.4. 核酸医薬を使ったHD治療戦略はハンチンチンタンパク質の低下を目標とし、HTT遺伝子によるタンパク質の合成を抑制することです。現在、何社かの企業がハンチンチンタンパク質を低下させるため、革新的なアプローチを検討しています。中でもアンチセンスヌクレオチド(ASO)をHD治療に使用することを進めている企業が、RocheとIonisです。RocheはIonisと提携し、ハンチンチンタンパク質低下ASOを重要な研究として発表し、“GENERATION HD1”と呼称するASOによる臨床試験をデザインしました。これは非常に大規模な治験であり、世界150カ国から80~90の医療機関で660名のHD患者を登録するという内容です。治験の目的は長期間投与の安全性と忍容性であり、機能評価(運動、認知、神経関連)を行うことです。ここで忍容性とは薬剤の副作用が投与された人にとってどの程度耐えることができるかを評価することです。RG6042 第三相臨床試験HD患者のハンチンチンたんぱくをターゲットにした臨床試験第一/二相の結果と課題についてCopyright © 日本ハンチントン病ネットワーク All Rights Reserved. アンチセンス核酸医薬品が必要な配列を非意図的にふさいでしまうことはありませんか → 間違ってふさいでしまいそうな、似た配列がないか遺伝子データベースを用い、配列検索を予め行います。 特定の遺伝子を制御して治療する目的の核酸医薬にアンチセンス核酸、siRNAがあります。これらの従来の核酸医薬とは異なる新しい分子構造・作用機序を有する第3の核酸医薬、「ヘテロ2本鎖核酸(HDO)」の開発に成功しました。 当館請求記号:sc21-l166 rg6042(ロッシュ社)核酸医薬を使ったhd治療戦略はハンチンチンタンパク質の低下を目標とし、htt遺伝子によるタンパク質の合成を抑制することです。現在、何社かの企業がハンチンチンタンパク質を低下させるため、革新的なアプローチを検討しています。 核酸医薬は、サイトカイン療法とは全く違います. 遺伝子治療薬とは、数千個以上の天然核酸で構成され、遺伝子発現を介して作用するもの。. mrna医薬とは、酵素を使って人工合成され、遺伝子発現を介して作用するもの。 Nat. ©2019-2020 Ayumi Media ここまで核酸やdna、rnaについて詳しく見ていきましたが、dnaから構成される遺伝子や染色体についても解説します。まずdnaは鎖状に連なり、さらに鎖状に連なった二本のdnaがらせん状に絡まり合って伸 … Japanese Huntington's Disease Network (JHDN) 7月に開催される再生医療展で、そこで選んだのが、今回初めて知る治療方法でしたが、調べれば調べるほど、実用化に期待が膨らむものでした。mRNA医薬はDNAの段階を経ずにタンパク質を迅速に合成でき、ホストゲノムを傷つけることがありません。細胞に入れるだけで望みのタンパク質を発現できますが、実用化に近づくまでには目次メッセンジャーRNA(mRNA)を医薬品として直接体内に投与する技術は、核酸医薬品と遺伝子治療薬の両方の性質を備えたものです。三者の定義は次の通りです。 人工的に合成したmRNAを医薬品として使うメリットには以下のものがあります。・mRNAは細胞質に入るだけでタンパク発現する・mRNAはホストゲノムへ挿入されるリスクが無く安全である・遺伝子配列に基づいて設計するので、低分子薬や抗体薬よりも圧倒的に速く候補化合物を取得できる しかし、長い間、臨床応用されてこなかった背景には・生体内、特に細胞外では非常に不安定である・生体内で強い炎症反応を起こす しかし、mRNAは細胞内に常に必ず存在する物質ですよね。mRNA医薬の研究者である位髙啓史先生は、ということは、同時に、つまり、位髙先生方がこれまで研究してきたキャリアは、混合すると、内部にmRNAが凝縮され、出典:メッセンジャーRNA医薬の開発戦略を改変 PEGは無毒で、非免疫原性かつ親水性で生体適合性の高い物質のため、周囲をPEGで覆うことで、mRNAによる炎症反応を抑えることができます。 上のように、mRNAとポリマーが凝縮され、それをPEGが包んでいるイメージです。以下、キャリアに内包されるこれまで遺伝子導入に使用されてきたポリマーの中で、最も高い効率を有するのは出典:ウィキペディア細胞培養において細胞の培養皿への定着を促進させる促進剤としても使われています。しかしPEIには、細胞膜を破壊したり、ミトコンドリア膜を破壊したりなど、そこで開発されたのが、ポリアスパラギン酸を主鎖とし、側鎖にジエチレントリアミン(DET)が連結された出典:メッセンジャーRNA医薬を実現するDDS開発と疾患治療への応用 【参考】アスパラギン酸➡ポリアスパラギン酸出典:ポリアスパラギン酸をベースとした吸水性ポリマー このポリマーには次の特徴があります。・細胞膜に対する障害が小さい・細胞内に取り込まれた後にエンドソームから細胞質への移行が促進される 細胞膜を傷つけず、かつ、細胞内に取り込まれた後は細胞質に移行されやすい、まさにmRNAが医薬品として活躍するのに適した性質を有していますよね。なぜこれが可能になるかと言うと、出典:メッセンジャーRNA医薬の開発戦略を改変細胞内に取り込まれた後、エンドソームから移行すると、今後は再びモノプロトン状態になり、毒性が低下します。しかし、細胞質に移行して、ポリマーとmRNAが放出されたとき、mRNAは無事届けられましたが、ポリマーが分解されずに蓄積してしまうと、結局毒性を持つことになりますよね。どうしているのでしょうか?P[Asp(DET)]は37度で急速に自己分解する性質を持つため、mRNAを送達した後、細胞内で短時間でモノマーの状態に戻ります。P[Asp(DET)]のスゴイところは、一方で、従来使われていた出典;出典:メッセンジャーRNA医薬の開発戦略を改変つまり、お役目を果たしたポリマーP[Asp(DET)]は、mRNAを手放した後、モノマーの状態に戻り、生体内で迅速に分解されるわけですね。このキャリアには、もう1つ面白い特性があります。P[Asp(DET)]の側鎖には、エチレン鎖を挟んでアミノ基が2つありましたね。出典:メッセンジャーRNA医薬の開発戦略を改変このアミノ基の繰り返し数を変化させることで、次の違いが生まれます。・エンドソームから細胞質への移行速度・タンパク質の発現機能 出典:メッセンジャーRNA医薬を実現するDDS開発と疾患治療への応用を改変 アミノ基の繰り返し数が偶数(n=2、4)の場合、反対に、奇数の場合は、エンドソームからの移行効率は低いという結果が出ています。しかし投与直後では、pDNAもmRNAも偶数グループの方がタンパク質発現は高かったのに対し、1日超えると、mRNAの場合、この結果から、mRNAを送達する場合、面白いですよね!これまでの研究で、以下の疾患モデル動物で、mRNAによる治療効果が確認されています。嗅覚神経障害椎間板疾患嗅覚神経障害の疾患モデル動物に対し、神経の保護・再生をする神経栄養因子遺伝子をコードするmRNAを上記キャリアを用いて投与したところ、嗅覚神経の再生を認めました。キャリアを用いないmRNA投与群では、鼻粘膜に強い炎症反応を起こすのみで、遺伝子発現は認められませんでした。出典:「メッセンジャーRNA(mRNA)医薬を用いた椎間板疾患治療」椎間板疾患モデルラットに、軟骨形成に関与する転写因子をコードするmRNAをキャリアを用いて投与したところ、投与後2週後、4週後、ほぼ正常に近い所見を認めました。非投与群では椎間板高が著しく減少しており、キャリアを用いないmRNA投与群では、椎間板組織に強い炎症反応を認めています。出典:「メッセンジャーRNA(mRNA)医薬を用いた椎間板疾患治療」これらの結果から、mRNAによる炎症反応を回避するために、キャリアを使うことが有効であることがわかりますね。椎間板疾患はQOLを著しく低下させるものですが、罹患率は80%と言われ、自然回復はおろか、根治療法は開発されていません。加齢とともに変性が進む疾患で、高齢者にとって喫緊の問題の1つです。mRNAキャリアを使ってmRNAを送達すれば、ゲノムを傷つけず、安全かつ効率的に治療ができそうですね。今回はmRNA医薬の開発状況と、臨床応用の橋渡しとなるDDSキャリアについてご紹介しました。キャリアに内包するポリマーのプロトン状態によって遺伝子導入効率や毒性を調整したり、構造を変えることでタンパク質の発現効率や発現の持続時間をコントロールできる点が興味深いです。今回参考にした資料の多くは2016年のものでした。再生医療展のセミナーでは、位髙先生から最新動向をお聞きできると思いますので、またご報告します。セミナー聴講後の記事: 【参考】 ※アイキャッチ画像の出典:東京医科歯科大学    メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。 遺伝子治療は最初、遺伝性疾患と呼ばれる遺伝子に異常がみられる患者さんを対象に試みられました。 遺伝子の塩基配列に異常があり、ある種のタンパク質が作られないことで起こる病気であれば、それを根本的に治すには遺伝子レベルでの治療が必要であると考えました。 Med., 14:939-948,2008に発表されているように、核酸医薬とは異常な遺伝子の働きに対して、それを抑制するように作用する新医薬品である。 新幹線でも太平洋横断はかなり困難です。しかし、最近、核酸医薬・遺伝子治療という新しいモダリティ(飛行機)が登場し、疾患の病態メカニズムに直接切り込める可能性が出てきました。