マーチン ギター 工場
Martin輸入代理店での修理経験から、年間500本以上の楽器を修理、調整させて頂いてきました。 本家マーチン仕込みの理論的で緻密な修理、調整方法で一本一本心を込めてリペアさせて頂きます。 アコースティックギター初心者向け入門講座マーチンのラインナップは多岐にわたるリーズで構成されており、それぞれにコンセプトが設定されています。「どのギターに対しても神経を研ぎすませてしっかり製作するのがマーチンのポリシー」だといわれるように、グレードの高いモデルでも価格を抑えたモデルでも、等しく丁寧にしっかりと作られています。価格に反映されるのは「どんなマテリアルが使われているのか」、また「どんな構造なのか」のようです。それでは、膨大なマーチンのラインナップをシリーズごとに見ていきましょう。「スタンダードシリーズ」はマーチンを代表するD-28、トップグレードのD-45、エリック・クラプトン氏の使用で知られる000-28など往年の名機の現代版で、マーチンラインナップの標準機種となっています。D-18、000-18など「スタイル18」では、という仕様で40万円台前半の価格帯、D-28、D-35、D-45,000-28、000-42など上位機種では、という仕様で40万円台後半以上の価格帯。ゴールドパーツ、べっ甲柄ピックガード、豪華インレイを施したトップグレードD-45では150万円を上回ります。ボディのバインディングにヘリンボーンをあしらい、またブレーシングを伝統的なスキャロップド・ブレーシングにしているアップグレード版のHD-28、HD-35などは50万円台からになります。現社長マーチンIV世の発案した「CEO-6」はD-28をベースに、といったアップグレードを施し、さらに後述する「パフォーミング・アーティスト・シリーズ」譲りのマイクシミュレータを搭載した最強のエレアコになっています。Standard Series を…ヨーロッパの爵位で第一位のDuke(公爵)に次ぐ第二位、公爵(=Marquis/マーキス)の名を持つグレードの高いシリーズで、ヴィンテージ、ゴールデン・エラ、マーキス、オーセンティックといった高級シリーズを統合したものです。D-45S Authentic 1936、000-18 Golden Era 1937など、年代ごとのヴィンテージギターを再現したモデルが中心で、など、往年の設計を再現しているもので占められ、12フレット接続仕様を再現したモデルも含まれています。VTSが施されているものが多く、新品の状態でありながら弾き込まれたかのような豊かな鳴りとレスポンスの良さがあります。価格帯は50万円台以上で、90万円台や100万円以上など目の保養になる高額モデルが多くあります。D-28 Authentic 1931、D-28 Authentic 1941など100万円を超えてくるモデルでは、という仕様にアップグレード、また通常プラスチックが採用されているナットで「Fossilized Ivory(=化石化した象牙)」すなわちマンモスの牙が使われています。象牙はヴィンテージで使用されており、ナットの素材として最高のものですが、現在では自然保護の観点から手に入れることができません。人工素材で「TASQ(タスク)」が象牙にかなり接近していますが、当時のスペックをできるだけ再現するため、天然素材にこだわっています。最高グレードのD-45S authentic 1936、D-45 authentic 1942は、といった更なるアップグレードでこれ以上ない最高のグレードとなり、価格も700万円を上回ります。Marquis Collection を…「リミテッド・エディション」は年二回行われる世界最大規模の楽器ショウ 「NAMM Show」で発表されるアニバーサリーモデルや特別なアーティストモデルのラインナップで、上述のマーキス・コレクションが爵位でいう第二位を表すのなら、第一位はこちらのシリーズになります。ほとんどがオープン価格の中、価格が判明しているD-100 Deluxeはマーチンの通算生産数100万本を記念した、贅を尽くした50本限定生産のドレッドノートで、1,400万円にもなります。「カスタムシグネイチャー・エディション」はリミテッド・エディションから派生したシリーズで、マーティンギターに貢献したアーティスト達のモデルをリリースしています。ジョン・メイヤー氏やママ&パパスなどのラインナップの中、フォーク・クルセターズとサディスティック・ミカ・バンドの活動で名高い加藤和彦氏とアルフィーの坂崎幸之助氏のユニット「和幸(KAZUKOH)」のシグネイチャーモデル「D-45SM KAZUKOH 」が作られたこともありました。「カスタムショップ・エディション」は日本向けの特別仕様で、アディロンダック・スプルースやマダガスカル・ローズウッドといった高級な木材に加え、カルパチアンスプルース、スイススプルース、ココボロ(=ニカラグアンローズウッド)といったプレミアム度の高い木材を採用、ブレーシングにまでアディロンダック・スプルースを使用する深いこだわりのあるシリーズで、80万円台が中心になっています。Customshop Edition を…「パフォーミング・アーティストシリーズ」は現在マーチンが最も力を入れているともいわれる、カッタウェイ付きのエレアコモデルのラインナップです。型番は「CPA(=カッタウェイのある、パフォーミング・アーティスト)」を基本とし、その前にボディ形状を表す記号が、また後ろには最高のグレードを1とする5までの数字が充てられ、価格帯には10万円台から60万円台までの幅があります。CPA1から3までは、レコーディングスタジオで定番となっているマイクで録音したサウンドを再現する「マイクシミュレータ」が装備されており、このシリーズ最大の特徴となっています。ライブはもちろん、高品位なマイク録りのサウンドがライン録りで得られるためレコーディングでも頼りになります。CPA4と5にはマイクシミュレータがありませんが、チューナーも内蔵したFishman F1 Analogピックアップシステムにより、高品位なエレアコサウンドをアウトプットすることができます。Performing Artist Series を…「レトロシリーズ」はスタンダードシリーズをベースにスキャロップドブレーシングとフォアードシフトでアップグレードした上、エレアコ部分からは当時のマイクで録音した「あの時のサウンド」をシミュレートしてアウトプットできる最強のエレアコで、シミュレーションの内容はパフォーミング・アーティストシリーズとは異なるものとなっています。それぞれベースとなっているモデルより10万円程アップチャージをしています。Retro Series を…「15シリーズ」は現代では贅沢仕様となった、ネックもボディもマホガニーの「オールマホガニー」モデルで、赤茶けたボディは女性に人気があります。ボディ形状はD、00、000の3種類があり、指板とブリッジはローズの代替材モラド(=ボリビアンローズウッド)が使われていますが、エボニー製のブリッジピンなど随所にこだわりが光るシリーズで、価格帯は25万円〜30万円近辺です。15 Series を…「16シリーズ」と「17シリーズ」はスタンダードシリーズにおけるスタイル18の廉価版という立ち位置で、16は指板とブリッジがリッチライトで25万円近辺、17は指板がモラド(ボリビアンローズウッド)になっており30万円近辺になっています。トップ材をアディロンダック・スプルースにアップグレードするなど、こだわりの仕様のものもあります。16 Series を…「ロード・シリーズ」はマホガニーの代替材としてサペリを使用、またネックはストラタボンド、指板とブリッジはリッチライトという構成で、Fishmanの「Sonitone」を搭載したエレアコになっています。また新開発の「Aブレーシング」により、20万円を下回る手に入れやすいシリーズでありながらしっかりとマーチンサウンドを得ることができます。Road Series を…「Xシリーズ」はロード・シリーズをベースにサイド&バック材をHPLにして、更に低価格化を実現させたモデルです。ボディ材変更に伴い、このシリーズ専用のブレーシングが開発されています。10万円台前半でマーチンサウンドが手に入る驚異的なコストパフォーマンスを誇りますが、DXMAEに至ってはトップ材までHPLが採用されて全マテリアルが人工素材となり、脅威の12万円台という価格を実現しています。X Series を…「Sustainable Woods(=サスティナブル・ウッド)」は、森林保護団体が植林しながら管理しているチェリー材をサイド&バック及びネック材に使用し、指板とブリッジにエボニーの代替材「Katalox」を使用した、総天然素材のシリーズで、27万円のSWDGTとSWOMGT、40万円台のOMCGTE Cherry、OMC Cherryがあります。また、「カスタム・シグネイチャー・エディション」にラインナップされているジェフ・トゥイーディ氏のシグネイチャーモデル「00-DB Jeff Tweedy」は、森林保護団体FSCが認可したマホガニーでボディ&ネックが作られています。マーチンD-28を…