表題の旅は、2018.8,21~24に行われ、9月29日に放送されたテレビ東京の看板番組である。その再放送はまだだが、blog「タビリス」や「バスとりっぷ」を検索して、その旅の行程を追うのは楽しい。レギュラーの田中、羽田さんに加えて今回のマドンナは秋本奈緒美さん(55歳)。 8, 21 ~ 24 に行われ、9月29日に放送されたテレビ東京の看板番組である。その再放送はまだだが、blog「タビリス」や「バスとりっぷ」を検索して、その旅の行程を追うのは楽しい。レギュラーの田中、羽田さんに加えて今回のマドンナは秋本奈緒美さん(55歳)。青森県恐山を二泊三日で目ざす。 塩釜は、仙台から電車で 15 分の漁港の町。202 段の石段を登って楼門をくぐり到達する塩釜神社が観光のメイン。お寿司屋さんの多いこのレトロな町を観光する余裕はなく、8 : 20 出発。物産館、松島町役場前、と乗り継ぎ「上竹谷地内」というバス停で早くも行き詰った。 6 . ローカル路線バス乗り継ぎの旅z . 決まったことには文句言わないテレビ東京系列の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z」第5回が放送されました。田中要次と羽田圭介がコンビとなって、路線バスだけを乗り継いで旅をする番組です。今回のマドンナは小野真弓。サンミュージック所属で、太川陽介と同じ事務所です。目標は、徳島城をスタートし、3泊4日で四国にある「現存天守四城」(丸亀城・松山城・宇和島城・高知城)をチェックポイントとして巡るもの。「四国ぐるり一周の旅」という設定です。例によって正解ルートを検証してみましょう。いつものことですが、以下はネタバレ100パーセントです。また、結果論100パーセントです。行ってない筆者が机上で語っているだけです。ご理解のうえ、お読みください。※以下、掲載時刻は確認しましたが、間違いや勘違いがあると思います。その場合はご容赦、ご指摘ください。文中は敬称略です。最初に、番組で3人が実際に旅したルート(実際ルート)をたどってみましょう。時刻表上の定刻を確認してみました。ただし、ロケ時とオンエア時にダイヤ改正シーズンを挟んだので、変更されている可能性があります。徒歩距離は、原則としてオンエアされた数字を表記しています。▽1日目(日曜日)▽2日目(月曜日)▽3日目(火曜日)▽4日目(水曜日)ということで、結果は成功です。高知城に最終日の19時過ぎに到着という、ギリギリのゴールとなりました。成功したので、一行が通ったルートは「正解」といっていいのですが、2日目には22kmに達する徒歩を挟むなど、厳しい局面もありました。もう少しラクなルートもあるのでは? とお感じになった方も多いと思います。検証してみましょう。ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z 第5回 四国ぐるり一周城巡り!ふれあい珍道中スタートは徳島城。時刻は10時です。最初に一行は、徳島城近くの公園前バス停から、鳴門行きのバスを見つけます。しかし、情報収集のため、いったん徳島駅に出てから鳴門に向かうことになりました。もし、最初から鳴門行きに乗っていたらどうなったでしょうか。▽1日目このようにつながります。ただし、引田から高松へのバスは13時10分発までないので、以後は実際ルートと同じになります。引田以降、高松駅から高松空港を経て丸亀に至るまでのルートに無駄はなく、正解ルートをたどったとみていいでしょう。1日目に丸亀城の訪問まで済ませ、完璧なスタートだったといえます。とくに、高松から高松空港を経て丸亀に至るルートの発見は、大きな価値がありました。空港を経由するというアイデアがなければ、高松~丸亀はかなり苦戦したはずです。仮に、高松空港経由ルートを発見できなかったら、どうなっていたかを考えてみましょう。たとえば、高松駅→弓弦羽→徒歩3km→大崎→坂出駅→ニューレオマワールド→丸亀駅と乗り継げば、路線図上はつながります。しかし、時刻表をたどると、高松駅を14時38分に出るバスに乗らなければ、坂出に当日着ができません。時刻表上で14時35分に高松に着いた一行には、無理な乗り継ぎだったでしょう。その他のルートも上手い接続は見当たらず、高松と坂出の間で、停滞を余儀なくされたかもしれません。1日目の順調の裏返しか、翌2日目、一行は苦戦します。22kmも歩いて川之江に着くのがやっとでした。もう少しラクなルートがないか、探してみましょう。一行は、丸亀駅の案内所で、琴平から西へ行くバスについて尋ね「琴平からは出てない」という答えを引き出します。さらに善通寺市に「空海号」というコミュニティバスがあるという情報も得られました。丸亀から琴平へのバスが午後ということもあり、一行は善通寺方面へ向かいます。しかし、実際には、琴平から三豊市役所へ向かうコミュニティバスが存在し、琴平へ向かえば以下のように乗り継ぐことができました。▽2日目琴平まで来ている三豊市コミュニティバス使えば、丸亀から一度の乗り換えで三豊総合病院に行くことができたのです。丸亀市と三豊市は離れていますから、丸亀駅の案内所の係員が、三豊市のコミュニティバスの路線網を知らないのは、やむを得ないことです。そして、一行が、出発時刻の早い善通寺方面へのバスに乗車したことも当然といえます。したがって、ここはノーミスと考えてよさそうです。9時過ぎに善通寺ICバスターミナルに着いた一行は、案内所で善通寺市のコミュニティバス「空海号」について尋ねます。近くにそのバス停があることを知りますが、次便は10時27分。1時間以上あるため、待たずに善通寺駅まで歩きました。一行は善通寺駅に向かう途中で、「空海号」とすれ違います。仮にこのバスにどこかで乗車できていれば、善通寺駅前に09時45分に着くことができました。番組では、一行が善通寺駅に着いたときに、09時49分のバスが行ったばかりであることを知りますが、それが、このバスです。ただ、善通寺市役所の先までしか行かない便でしたので、乗れなかったことによる影響はありません。善通寺駅のバス停では、「空海号」の全体路線図が掲示してありました。それによると、「吉原コース」に乗れば市の西端の旧西碑殿公民館前へ行けることがわかります。しかし「吉原コース」は善通寺駅に寄らないため、その時刻まではわからなかったようです。「吉原コース」は善通寺(寺院)付近を通るので、一行はとりあえず寺院方面へ歩き出し、途中で方角を変えて東仙遊町駐車場前から「吉原コース」のバスに乗りました。この区間で、もう少しラクに行けそうな乗り継ぎを探してみると、以下のようなルートが見つかります。丸亀駅0838→0903善通寺ICバスターミナル1027→(善通寺市営バス竜川コース)→1057善通寺市役所前1107→(善通寺市営バス吉原コース)→1130旧西碑殿公民館前善通寺ICのターミナルで教えてもらった10時27分発の「空海号」(竜川コース)に乗るわけです。そこで運転手にコミュニティバスの路線系統や時刻を尋ねれば、善通寺市役所前で乗り換えて、徒歩なしで旧西碑殿公民館前に着けたでしょう。つまり、善通寺ICでバスを待っていれば、時間のロスなく、善通寺市内の4kmの徒歩を省くことができた可能性が高かったわけです。余談ですが、2018年4月1日から、三豊市コミュニティバスが善通寺駅前まで延伸されました。それにより、仮に今、このルートで旅をするなら、以下のように繋がります。▽2日目このルートの場合、善通寺ICを10時27分に出る「竜川コース」を待っていたら、善通寺駅10時15分発の詫間方面行きバスに間に合いません。したがって、善通寺ICから善通寺駅まで歩くのがベターです。となれば、仮に今、ロケが行われていたら、善通寺ICから善通寺駅まで歩くのが「正解」になりそうです。「善通寺ICから歩かずにバスに乗れば良かった」というのは、先が見えない状況では結果論にすぎません。「空海号」の路線網で、少し意外な点があったとすれば、前述したとおり「吉原コース」が善通寺駅を通らないことです。「空海号」の拠点となっているのは善通寺市役所で、善通寺駅から250mの位置にあります。一行がもし立ち寄っていれば、近隣の詳しいバス情報を得られ、少なくとも善通寺市役所から東仙遊町駐車場前までの徒歩を省くことができたでしょう。一般論ですが、コミュニティバスの運営元が行政であることを考えれば、情報を得るには駅よりも市役所に立ち寄るほうが有意とみられます。一行が、もし善通寺市役所に立ち寄っていれば、以下のようなルートを見つけられていた可能性があります。▽2日目さらに、13時56分に三豊総合病院に着けば、以下のように進めました。▽2日目▽3日目2日目に松山市駅、3日目に中村駅まで到達できます。ただ、4日目に佐賀駅からのバスが少なく、佐賀駅以降で実際ルートに収斂します。実際ルートに戻りましょう。一行は2日目に10.5kmもの徒歩をこなして三豊総合病院に16時頃に到着しました。ここで、先へ進む箕浦へのバスが、17時43分に出ることを知ります。1時間40分の待ち時間ですが、これに乗れば5km以上を歩かずに済みます。羽田が「歩いたら1時間以上」と見積もると、小野は「待とうよ、待つでしょ、え、待つよね? 絶対待つでしょ!」と戸惑いの声を上げました。さらに「バス出ているのに何で歩くんですか、路線バスの旅ですよ!」と抵抗。それを羽田が説得し、一行は県境目指して歩き始めます。仮に、バスに乗っていたら、以下のようになります。三豊総合病院1743→1819箕浦→徒歩5.7km→川之江駅川之江駅に20時前に着くことができたでしょう。一行が川之江駅に着いたのは19時半でしたので、大きな差はありません。これも結果論ですが、箕浦行きバスを待たなかったことに意味はなく、疲労を蓄積しただけに終わりました。小野の「決まったことには文句いわない」と自らを励ました台詞だけが、印象に残った場面です。3日目、一行は川之江から新居浜方面へのバスを終点の住友病院前まで乗らずに、イオンモール新居浜で降りてしまいました。これにより、松山方面へのバスを1本乗り逃がしています。住友病院前まで乗るか、手前の新居浜駅で降りていれば、1本前の特急松山行きにすぐ乗り継げたのですが、イオンに行ってしまったのが失敗でした。なぜ、唐突にイオンで降りてしまったのでしょうか。その理由は番組上で明かされませんでしたが、伏線となったのは第4回の和田山の乗り継ぎ失敗ではないかと推測されます。このとき、イオン和田山を目指していれば、一行はゴールできていた可能性もあったのですが、考えが及びませんでした。その反省が、今回の「イオン下車」に繋がったのかもしれません。だとすれば、反省が仇となってしまったわけです。ただ、仮にイオンで降りずに、住友病院前から一本前の松山行きバスに乗れたとしても、松山から大洲方面へ乗り継ぐバス「八幡浜・三崎特急線」の便数が少ないので、松山以降は実際ルートに収斂します。全体として3日目は長距離バスを乗り継いで順調でした。一気に宇和島まで到達して、ゴールに望みをつなぎます。4日目、運命の最終日、宇和島から宿毛方面に向かうか、日吉方面に向かうかの選択が待ち受けます。一行は、ここで宿毛を目指しますが、仮に日吉方面に向かった場合は、どうなるでしょうか。▽4日目このように、昼過ぎには高知城に到達できます。したがって、日吉経由のほうが優れたルートに違いありませんが、ゴールできたのですから、どちらも正解だったといえます。高知城前から逆算して、ギリギリで着ける乗り継ぎを探してみると、以下のようになります。松山市駅0910→1024大洲駅前1143→1248宇和島バスセンター1320→1421夢産地前/日吉駅前1605→1630梼原1720→1829須崎駅1840→1952高知城前高知城の天守閣は17時に閉まりますが、天守閣の見える公園は夜でも入れます。そのため、3日目夜までに松山に着いて、4日目の朝、松山市駅を09時10分のバスに乗り、宇和島バスセンターから宇和島城まで30分で駆け上がり降りてくれば、時刻表上はその日のうちにゴールできます。ただ、宇和島での情報収集の時間を考えれば、あまり現実的な乗り継ぎとはいえません。となると、3日目夜に宇和島に到達しているのが、事実上のゴールの必須条件で、一行はギリギリだったといえそうです。徒歩を減らすには、丸亀から高松空港を経由するという、以下のようなルートもあります。▽2日目丸亀駅から空港経由で琴平に向かうルートを探すのは不可能ではないでしょう。ただ、丸亀駅で琴平~三豊総合病院のバス情報を得るのは難しく、実現性は低かったと思います。このルートに、上述の逆算ルート加えると、以下のような理想のルートができます。▽1日目▽2日目▽3日目ということで、時刻表上は3日間で高知城に着けます。ただ、実際にこのルートで旅をできるかといえば、ほぼ不可能でしょう。全体をまとめてみると、チェックポイント制を敷いているためルートが限られていて、究極といえるような二方向の選択場面はありませんでした。2日目の香川・愛媛県境は多少手強かったものの、脚力で克服できる範囲でした。川之江以降に難しい選択はなく、宇和島の二択も両方正解なので、お題としては平易だったといえます。2日目に一行が手こずったのは、バスがあっても先を急いで、歩きに歩いたからといえます。実際ルートをたどったとして、本当に歩かなければならなかったのは、旧西碑殿公民館前~三豊市役所の約6㎞と、箕浦~川之江間の約5.7㎞くらいだったでしょう。それだけで済めば、総歩行距離は12km程度で、「Zシリーズ」としてはラクな回になっていたかもしれません。ただ前述したとおり、それは結果論に過ぎません。先が見えないときに迷わず歩いたからこそゴールできた、という側面もあるでしょう。その意味では、一行の努力が報われた回だったとも表現できるわけです。マドンナの小野真弓は、毒がありながらも前向きな性格を見せ、積極的な聞き込みでロケを引っ張りました。羽田は「マドンナの小野真弓さんから色々なことを学ばせてもらいました。等身大のご自身を無防備なほどにさらけだす格好良さが4日間続いていました」(スポニチ2018/03/31)と述べたそうですが、同感と受け止めた方も多いのではないでしょうか。本気で歩き続けた田中・羽田コンビと、耐え抜いたマドンナ小野。ルートは平易だったとはいえ、適度に盛り上がり、バランスの良い秀作だったと思います。(鎌倉淳)