三杯鶏 台北 おすすめ

 台湾の人たちは薬膳スープが大好きだ。この店にもお年寄りはもちろん、小さな子どもを連れた家族や、全身黒ずくめのロックシンガーのような出で立ちをした若い男性もいて、意外な客層に驚かされる。摩訶不思議な食べ物に心惹かれたのか、外国人バックパッカーもひとり、無言で薬膳スープをすすっている。果たして彼はどんな感想を抱いたのだろうか?

   まず目につくのが人だかりのできている牛肉麺の屋台。小さくて古い屋台はカウンターが数席だけで、あとは通りにテーブルが置かれている程度。常に客足が絶えないが、早い時間帯に訪れたためか、ラッキーなことに、カウンターで麺をすすっているおじいちゃんの隣に座ることができた。彼は週に一度、ちょっと遠くからわざわざこの屋台の牛肉麺を食べにやってくるらしい。「うまいだろ」と親指を立てて笑う。    

台湾の人情食堂#37美味しいものが詰まった台北の延三夜市

   延三夜市が大人の夜市だと感じた理由はさまざまだが、老舗が多く、そこへ足を運ぶ常連客が多いからかもしれない。そして、夜市の南端に最後までポツンと灯りをともしている腸詰屋台「大頭橋大腸煎」も大人の夜市を象徴するようなたたずまいだ。    見た目はかなりの迫力。台湾バジルも入るので、その香りに抵抗がある人はあらかじめ「バジルなし」(不要九層塔/ブヤオジョウチェンター)と注文するといい。 *本連載は月2回(第1週&第3週金曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!          士林はいわずと知れた台湾最大規模の夜市で、食べ物から服、雑貨、ゲーム、さらには占いまで、何でも揃う巨大エンターテイメントだ。その一方で、台南の花園夜市や高雄の瑞豊夜市のようにフェンスで囲まれた特定のエリア内に屋台が並ぶものもある。そうした夜市はたいてい若者でごった返している。そして、寧夏夜市や臨江街夜市のようにクルマが入れない通りの両脇に食べ物屋台や雑貨店が並ぶオーソドックスな夜市がある。  

著者:光瀬憲子    看板メニューは店名にもなっている骨付き豚肉の薬膳スープ。だが、あえて「枸杞土虱」を頼んでみる。「枸杞」は日本でもわりと親しまれている、赤くて小さなタネのような形をしたクコの実だ。「土虱」はナマズ。その名のとおり、ナマズの大きなぶつ切りが、いかにも薬膳を思わせる黒いスープに入っており、赤いクコの実が散らしてある。 安旨食堂の旅』『台湾縦断!人情食堂と美景の旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾で暮らしてわかった律儀で勤勉な「本当の日本」』『スピリチュアル紀行 台湾』他。朝日新聞社のwebサイト「日本購物攻略」で訪日台湾人向けのコラム「日本酱玩」連載中。株式会社キーワード所属     さっぱりとしたクセのない紅焼スープにとろけるように柔らかい牛肉が入っている。こってりした牛肉麺と比べると食べやすいので小を1杯食べても食べ歩きに支障がなさそう。また、カウンターに置いてある酢をスープに垂らすとさらに食べやすくなるので、夏はおすすめだ。        メニューは豆花はもちろん、不思議な食感の焼仙草やかき氷類、そしてトッピングも。豆花や仙草デザートは、冬は暖かく、夏は冷たくして食べられるので一年中楽しめる。いつもはシンプルな豆花を選ぶのだが、このときはトッピングを楽しんでみた。大きなタロイモの甘煮、モチモチした食感のサツマイモ団子などを真っ白な豆花の上に浮かべた山盛りの一杯は、至福の時をもたらしてくれる。シロップはショウガが効いていて体にもよさそうだ。 台北市内の牛肉麺は通常、140元~200元くらいが相場だが、この店は「小」が1杯70元なのだ。 豚肉大国台湾にあって、牛肉は高級食材。 牛肉麺がたったの70元となれば、通いたくなるのも無理はない。  

   台湾ではおしゃれなカフェでワッフルなどを食べることもできるが、こうして老若男女に愛されている様子を目の当たりにすると、伝統スイーツもこの先、消えることはないだろうと思う。  

     さらに延平北路を歩いてみると、漢方の香り漂う食堂が目につく。混み具合からすると人気店だろう。ここ「良友薬燉排骨」は、その名の通り漢方煮込みの専門店なのだが、それにしては大衆食堂のような店構えで入りやい。



   夜市といっても、台湾の夜市には実にいろいろなスタイルがあるんだな、と実感したのは延三夜市を訪れたときだった。 #1112020.07.24「台湾ロス」のみなさんへ〈7〉#1102020.07.10「台湾ロス」のみなさんへ〈6〉#1092020.06.26「台湾ロス」のみなさんへ〈5〉#1082020.06.12「台湾ロス」のみなさんへ〈4〉#1072020.05.22「台湾ロス」のみなさんへ〈3〉#1062020.05.08「台湾ロス」のみなさんへ〈2〉#1052020.04.24「台湾ロス」のみなさんへ〈1〉#1042020.04.10台湾一周の宿〈前編〉#1032020.03.277泊8日で台湾一周はタイトか?#1022020.03.13女性でも楽しめる台湾一周鉄路の旅入門〈2〉#1012020.02.28女性でも楽しめる台湾一周鉄路の旅入門〈1〉#1002020.02.14冬の滋味、南部のラム肉を食べる#992020.01.24食べ歩きのコツと美味しい店探しの法則〈後編〉#982020.01.10食べ歩きのコツと美味しい店探しの法則〈前編〉#972019.12.272019年、台湾との関わりを振り返って#962019.12.13知られざる台湾の保存食文化#952019.11.22東台湾の魅力〈2〉池上編#942019.11.08東台湾の魅力〈1〉台東編#932019.10.25香港vs台湾、庶民派グルメ対決#922019.10.11本場・香港の燒臘(サオラー)を体験!#912019.09.27知っておくと便利な食べ歩き用語事典〈後編〉#902019.09.13知っておくと便利な食べ歩き用語事典〈前編〉#892019.08.16『台湾vs韓国』講座ダイジェスト〈2〉#882019.08.02『台湾vs韓国』講座ダイジェスト〈1〉#872019.07.19台湾人と韓国人〈後編〉#862019.07.05台湾人と韓国人〈前編〉#852019.06.21西台北の輝き再び〈5〉台北駅裏編#842019.06.07西台北の輝き再び〈4〉台北駅裏編#832019.05.17西台北の輝き再び〈3〉雙連編#822019.05.03西台北の輝き再び〈2〉大稲埕編#812019.04.19西台北の輝き再び〈1〉艋舺(萬華)編#802019.04.05台湾vsアジア 似たものグルメ対決#792019.03.15日本や中国で見つけた台湾グルメ#782019.03.01飲食店などで気持ちよく写真を撮らせてもらうコツ#772019.02.15台湾食堂の二代目、三代目物語#762019.02.01西側の離島で台湾の兵役を思う〈後編〉#752019.01.18西側の離島で台湾の兵役を思う〈前編〉#742018.12.21台北“人気行列店”以外の超おすすめ店#732018.12.07台湾の選挙と政治、初歩の初歩#722018.11.16漢字一文字で台湾料理を見分ける方法〈3〉#712018.11.02台北で宝塚観てきました!#702018.10.19漢字一文字で台湾料理を見分ける方法〈2〉#692018.10.05漢字一文字で台湾料理を見分ける方法〈1〉#682018.09.21長い夏の終わり、そして秋の訪れ#672018.09.07まだまだ暑い高雄で食べたい納涼グルメ!#662018.08.17この夏、台南で食べるべき納涼グルメ!#652018.08.03この夏、台北で食べるべき納涼グルメ!#642018.07.20『鉄道やバスで台湾一周』講座ダイジェスト〈3〉#632018.07.06『鉄道やバスで台湾一周』講座ダイジェスト〈2〉#622018.06.15『鉄道やバスで台湾一周』講座ダイジェスト〈1〉#612018.06.01台北最大の学生街「公館」の安旨グルメ#602018.05.18台北駅から15分の隠れグルメスポット、三重〈2〉#592018.05.04台北駅から15分の隠れグルメスポット、三重〈1〉#582018.04.20台北駅から15分の隠れグルメスポット、板橋〈2〉#572018.04.06台北駅から15分の隠れグルメスポット、板橋〈1〉#562018.03.16途中下車のお楽しみ、駅前食堂の旅〈2〉#552018.03.02途中下車のお楽しみ、駅前食堂の旅〈1〉#542018.02.16せっかちな私ですが、高鉄より台鉄の旅が好き#532018.02.02「あったかごはん」瑞芳、新竹、嘉義、台南、高雄編#522018.01.19じつは寒い! 冬の台北の過ごし方#512018.01.05わたしの台北 街ものがたり〈2010年〜〉#502017.12.15わたしの台北 街ものがたり〈2000年~2007年〉#492017.12.01わたしの台北 街ものがたり〈1990年代〉#482017.11.17台湾の「台」ってどんな意味?#472017.11.03光瀬流、台湾での1日の過ごし方#462017.10.20台湾リピーター向け、台北のおすすめ7店#452017.10.06台北のオフィス街、穴場ランチストリート#442017.09.15高雄へ直行! 下町の鹽埕・前金を食べ歩く#432017.09.01下町情緒と穴場グルメ“台北駅裏”の歩き方#422017.08.18台湾人に愛されている食べ物に詳しくなれる話#412017.08.04昼飲み天国「慈聖宮」と、その周辺の美味しい店#402017.07.21台北駅至近のとっておきの宿と米粉麺の人気店#392017.07.07食べ歩きのオアシス、お粥のおすすめ店#382017.06.16麺線の魅力と台北のおすすめ店#372017.06.02美味しいものが詰まった台北の延三夜市#362017.05.19牛肉麺の世界と、こだわりの店#352017.05.0540代からの初体験! 艋舺の街角屋台#342017.04.21超穴場・南機場夜市の本格グルメ屋台#332017.04.07東台湾の旅 野菜王国の宜蘭、湯けむりの礁渓へ#322017.03.17自然のチカラと旨いメシ、東台湾へようこそ#312017.03.03台南食べ歩きは、國華街×保安路に的を絞る!#302017.02.17台湾の別天地、隠れリゾート墾丁へ#292017.02.03台南の次は、食と人情の街・嘉義#282017.01.20巨大牛肉鍋を拝みに嘉義の東公有市場へ#272017.01.06大人の散歩道、高雄の鹽埕#262016.12.16台湾の“あんかけ”ワールドへようこそ#252016.12.02台湾が一人旅に向いている7つの理由#242016.11.18初めての台湾、言葉のできない私は何を食べた?#232016.11.04一人旅向きスポット5選~『台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅』より#222016.10.21最新刊の◎おすすめ料理、5つ選びました!#212016.10.07男と女と台湾料理#202016.09.16初めての台湾で「!  スイーツの幸せを味わうのが女子だけだと思ったら大まちがい。隣のテーブルでは大学生くらいの男子4人が小さなテーブルを囲み、なかよくスイーツをつついている。伝統スイーツ店にはこうした男子のグループや一人でスイーツ楽しむ中年男性の姿も珍しくない。  

鶏家荘 (チーチアズワン)を実際に訪れた旅行者が徹底評価!日本最大級の旅行クチコミサイト フォートラベルで鶏家荘 (チーチアズワン)や他のグルメ・レストラン施設の見どころをチェック!鶏家荘 (チーチアズワン)は台北で94位の中華です。  屋台で食べ歩きをするのではなく、屋台の灯りの元で深夜過ぎにスライスされた腸詰めを食べられる屋台は、ありそうでなかなか見つからない。  トマトの串刺し飴を舐めたり、大きな鶏の唐揚げを食べ歩きしたり……といった夜市ではなく、しっかり夕飯を食べたり、大人どうしで飲んだりするのにいい、いわば「大人の夜市」なのだ。

   メニューは少なく、腸詰めが2種類(香腸と糯米腸)と鶏肉が1種類だけ。いかにも酒のツマミによさそうな素朴な腸詰めが小皿にきれいに並べられて出てくる。近くのスーパーで買ってきた缶ビールとともにつまんでみる。これぞ大人の時間。 *6月17日、7月15日、8月19日(いずれも第3土曜13:00~14:30)、名古屋の栄中日文化センターで筆者が台湾旅行講座を行います。お申し込みは下記からお願いいたします。

1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。米国ウェスタン・ワシントン大学卒業後、台北の英字新聞社チャイナニュース勤務。台湾人と結婚し、台北で7年、上海で2年暮らす。2004年に離婚、帰国。2007年に台湾を再訪し、以後、通訳や取材コーディネートの仕事で、台湾と日本を往復している。著書に『台湾一周 !

三杯鶏用の小さめの鍋に日本酒、醤油、胡麻油1:1:1で入れておきます。 フライパンにごま油を多めに入れ、傾けて端に溜め、にんにくと生姜を揚げるようにします。少し色づいたら、三杯鶏用の鍋に入れま …  

   延平北路は普通の車道なので、クルマが通るすぐ脇や歩沿いに屋台や食堂がずらりと並んでいる。