[定点観測]主要製薬企業 国内新薬開発パイプライン(2020年5月版)武田、新型コロナウイルスで試されるシャイアー買収の真価新たなモダリティの台頭が促す製薬企業の合従連衡【2020年3月版】製薬大手 抗がん剤パイプライン【全記事まとめ】新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ【COVID-19】(7月17日UPDATE)相次いで発表された有望な臨床試験結果…新型コロナワクチンへの期待高まる新型コロナウイルス 抗体の急速な低下、ワクチン開発の課題に【2020年版】製薬会社年収ランキング 1000万円超えは11社 中外も大台に…トップは今年もソレイジア
みなさん、こんにちは。現役オンコロジーMRのゆってぃーよ。今年も2020年版製薬会社年収ランキングが発表されました。(AnswersNewsより)今回の年収ランキングの特徴この年収ランキングは、その企業に勤めている正社員の年収ランキングである事に注意が必要。一般的には営業職は様々な手当も付くしボーナスも高いのでMRの年収ランキングにしたら、この金額はもう少し高くなると思う。同じ年収1000万円でも、平均年齢45歳で1000万円と40歳で10000万円では価値が異なる。新興企業だと年収高いけれども勤続2〜3年になっており、高額で転職した一部の社員がこの年収を引っ張っている可能性が高い。キョーリン、大日本住友、協和キリンも年収900万円前後に位置付けられている。しかしながら全体的には年収が高い業界と言って間違いがないでしょう。このような意見を聞く機会が多いし、私も今後の改悪はあると思う。しかし過去にこんな記事も書いている。この記事は最悪を想定して、ここまでのトレンドは示さないと思う。少なくともCOVID-19で仕事が楽になって、みなしの時間外勤務をほぼしていない状況から営業手当が少なくなったり、思うような営業活動が出来ていない現状からMR個人の業績賞与の係数が少なくなりボーナス額が少なくなる事は容易に想像がつく。しかし製薬業界が年収が高い業界である事はそう変わらないと思う。外資系企業の年収は内資企業の年収を参考に算出しているので平均年収で考えた時に大きな差はない。平均にしたら同じでも、振れ幅が大きい特徴がある。大手製薬会社に勤めれば特別な出世などがなくとも年収1000万円近くはもらえると言う事。このような事を考えても金には恵まれた事がよく分かる。今後は年収の改悪はあるだろうけど、大きな減少は考えづらい。 国内製薬企業の2020年3月期決算が出そろいました。AnswersNewsが20年3月期を中心に東証1部上場の主要製薬企業42社(製薬が本業でない企業が手がける医薬品事業を含む)の直近の決算を集計したところ、売上高は全体で前期比12.9%増、営業利益は6.4%増となりました。 19年10月に消費増税に伴う薬価改定があったものの、好調な海外事業や新製品を背景に上位は軒並み増収。一方、売上高2000億円を下回る企業では、薬価改定や後発医薬品の影響で減収となったところも少なくありませんでした。INDEX 売上高では、武田薬品工業が3兆2912億円(前年比56.9%増)でトップ。19年1月のシャイアー買収が通年で寄与し、2位以下に倍以上の差をつけました。主力の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」は売上高3472億円(29.0%増)と好調。消化器領域の売上高は前年比29.4%増の6979億円に達しました。 2位の大塚ホールディングス(HD)は1兆3962億円(8.1%増)で前年3位から1ランクアップ。グローバル4製品と位置付ける▽抗精神病薬「エビリファイメンテナ」▽同「レキサルティ」▽利尿薬「サムスカ/ジンアーク」▽抗がん剤「ロンサーフ」――が計3751億円(34.9%増)を売り上げました。3位に後退したアステラス製薬は、前立腺がん治療薬「イクスタンジ」(4000億円、20.1%増)が好調を維持したものの、過活動膀胱治療薬「ベシケア」の特許切れや国内の売り上げ減少で0.4%の減収となりました。 前年から売り上げを大きく伸ばしたのは、6位の中外製薬(18.4%増)や10位の協和キリン(12.6%増)、15位の日医工(14.1%増)など。中外は血友病治療薬「ヘムライブラ」が伸び、協和キリンは抗FGF23抗体「クリースビータ」が拡大しました。日医工はエルメッドの買収が寄与し、沢井製薬(16位)から後発医薬品企業トップの座を奪還。このほか、OTC事業が好調だった大正製薬ホールディングス(12位)や婦人科領域を拡大中のあすか製薬(29位)も2ケタ増収でした。 一方、鳥居薬品は、米ギリアド・サイエンシズとの抗HIV薬のライセンス契約終了が響き、31.3%の減収で7ランクダウン。ロイヤリティ収入が落ち込んだ田辺三菱製薬(8位)や、抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ」が大きく売り上げを減らした塩野義製薬(9位)も減収となりました。 営業利益では、アステラスが2440億円(0.0%増)で2年連続のトップ。2位は69.4%増で2000億円を突破した中外でした。工場の売却益を計上した第一三共(65.8%増)や、提携先からのマイルストン収入があったエーザイ(45.7%増)なども大幅な増益。日本たばこ産業(JT)は、ギリアドとのライセンス解消に伴い一時金を受け取ったことで176.4%の増益となりました。 武田は、シャイアー買収に伴う無形資産の償却費がかさんで57.8%の減益。65.1%減となった日医工は、米子会社セージェントの減損損失や国内での自主回収費用の引当金を計上したことが響きました。田辺三菱は、カナダ子会社メディカゴがインフルエンザ向け植物由来VLP(ウイルス様粒子)ワクチンの米国申請を断念したことで、約240億円の減損損失を計上。営業利益は60億円の赤字に転落しました。 営業利益率では、特殊要因があったJTを除くと、37.4%の塩野義がトップ。中外(30.7%)や科研製薬(29.7%)、小野薬品工業(26.5%)も25%を超えました。 研究開発費ランキングでも、武田が4924億円(33.7%増)で首位。2位のアステラス製薬と3位の大塚HDも開発費を増やしました。ただ、全体で見ると約半数の企業で開発費は前年から減少しており、売上高に対する比率も19社で低下しています。 前年から研究開発費を大きく増やしたのは、ライソゾーム病治療薬の開発が大詰めを迎えているJCRファーマ(37.7%増)や、米子会社でバイオシミラー開発が進む日医工(21.6%増)など。売上高に対する比率では、大日本住友製薬(23.8%)や小野薬品工業(23.2%)をはじめ、上位10社の約半数で20%を超えました。 海外売上高も武田が2兆6984億円でトップ。シャイアー買収で獲得した血友病A治療薬「アドベイト」や血漿分画製剤が増収に貢献し、売上高に対する比率は8割を超えました。 各社とも海外事業はおおむね好調で、中外(53.0%増)や協和キリン(35.9%増)、エーザイ(20.2%増)などが売り上げを大きく拡大。中外は関節リウマチ治療薬「アクテムラ」や抗がん剤「アレセンサ」が、協和キリンはクリースビータが好調で、エーザイは抗がん剤「レンビマ」が伸びています。 武田(82.0%)とアステラス(73.4%)、大日本住友製薬(63.8%)、エーザイ(59.8%)、塩野義(58.6%)、大塚HD(50.6%)の6社は、売上高の半分以上を海外で稼ぎました。 武田は3兆2500億円で1.3%減の減収を予測する一方、シャイアー統合による費用が減少するため営業利益は3550億円(253.6%増)となる見通し。エーザイは10年ぶりとなる売上高7000億円超えをうかがいますが、7.8%の増収を見込む中外に抜かれ、6位に後退することになりそうです。 工場の売却益で19年度に大幅増益となった第一三共や、買収関連費用が増加する大日本住友は、大幅な減益となる見込み。新薬発売に向けた費用や研究開発費の増加を見込むエーザイも2ケタの減益予想です。 後発品では、再び沢井と日医工でトップが入れ替わる見通し。米国で新薬が好調な沢井は、国内の後発品企業としては初となる売上高2000億円突破を目指します。 新型コロナウイルス感染症の影響が算定できないとして業績予想を公表していない企業や、業績予想に反映していない企業もあり、各社の業績予想は今後変動する可能性もあります。 (亀田真由) 新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ【COVID-19】(7月17日UPDATE)相次いで発表された有望な臨床試験結果…新型コロナワクチンへの期待高まる新型コロナウイルス 抗体の急速な低下、ワクチン開発の課題に【2020年版】製薬会社年収ランキング 1000万円超えは11社 中外も大台に…トップは今年もソレイジア塩野義、中国平安との合弁事業の全貌 ゆってぃーMRの製薬会社生活ブログ・副業・リストラ・転職・生活に切り込む! , AnswersNewsが、2019年12月期(一部の日本企業は20年3月期)の世界売上高100億ドル超の製薬会社23社の業績を集計したところ、スイス・ロシュが3年連続で売上高世界一となりました。2位は米ファイザー、3位はスイス・ノバルティスで、トップ3は前年と変わらず。一方、シャイアー買収が通年で寄与した武田薬品工業は売り上げを大きく伸ばし、日本の製薬会社としては初めて世界トップ10に入りました。INDEX 3年連続で売上高世界一となったスイス・ロシュは、前年比8.1%増(公表通過ベース)の618億6900万ドル(約6兆7428億円)を売り上げました。2位は517億5000万ドル(前年比3.5%減)の米ファイザー、3位は474億4500万ドル(6.0%増)のスイス・ノバルティス。以下、米メルク(468億4000万ドル、10.7%増)、英グラクソ・スミスクライン(431億200万ドル、9.5%増)と続き、8位までは前年と同じ顔ぶれとなりました。 ロシュは抗がん剤「リツキサン」や同「ハーセプチン」がバイオシミラーの影響で売り上げを落としたものの、多発性硬化症治療薬「オクレバス」(37億4500万ドル、57%増)や抗がん剤「パージェタ」(35億5700万ドル、29%増)、免疫チェックポイント阻害薬「テセントリク」(18億9400万ドル、143%増)などが拡大しました。 ノバルティスは乾癬治療薬「コセンティクス」(35億5100万ドル、25%増)や心不全治療薬「エンレスト」(17億2600万ドル、68%増)などが好調で増収。ファイザーは、乳がん治療薬「イブランス」(49億6100万ドル、20%増)や関節リウマチ治療薬「ゼルヤンツ」(22億4200万ドル、26%増)などが伸びましたが、コンシューマーヘルスケア事業の分離や特許切れ薬の落ち込みが響きました。 4位のメルクは免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」(110億8400万ドル、55%増)が年間売上高100億ドルを突破。5位のGSKは「シングリックス」などのワクチンや「ジャルカ」などの抗HIV薬が牽引しました。 米ジョンソン・エンド・ジョンソンは乾癬・クローン病治療薬「ステラーラ」や抗がん剤「ダラザレックス」、同「イムブルビカ」などが伸び、6位をキープ。7位の仏サノフィは希少疾患事業が好調でした。米アッヴィはTNFα抗体「ヒュミラ」が191億6900万ドルで4%減となったものの、乾癬治療薬「スキリージ」や白血病治療薬「ベネクレクスタ」などの新製品で補いました。 潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」(31億8600万ドル、29.0%増)が好調な武田薬品工業は、シャイアーの買収が通年で寄与し、売上高は56.9%増の302億ドルと大幅に増加。前年16位から大きく順位を上げ、9位にランクインしました。 米ブリストル・マイヤーズスクイブも昨年11月に完了したセルジーン買収が貢献し、前年から1ランクアップ。免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」は72億400万ドルで7%伸びました。 トップ10以降で前年から大きく売り上げを伸ばしたのは、11位の英アストラゼネカ(10.4%増)、15位の独ベーリンガーインゲルハイム(8.6%増)、17位のデンマーク・ノボノルディスク(9.1%増)など。 アストラゼネカは肺がん治療薬「タグリッソ」(31億8900万ドル、71%増)などがん領域の新製品が好調で、前年から2つ順位を上げました。ベーリンガーインゲルハイムはSGLT2阻害薬「ジャディアンス」(24億1000万ドル、47%増)が伸び、ノボはGLP-1受容体作動薬「オゼンピック」(16億8600万ドル、142%増)などが牽引しました。 米イーライリリーは前年から5ランクダウンしたものの、GLP-1受容体作動薬「トルリシティ」(41億2800万ドル、29%増)や乾癬治療薬「トルツ」(13億6600万ドル、46%増)などの拡大で3.8%の増収。一方、米アムジェンはバイオシミラーの影響で1.6%の減収となり、イスラエル・テバは多発性硬化症治療薬「コパキソン」が後発品との競争で売り上げを落としたことが響きました。 武田以外の日本企業では、大塚ホールディングスが128億1200万ドルで21位、アステラス製薬が119億3600万ドルで22位となりました。 研究開発費が最も多かったのは売上高と同じくロシュで、その額は前年比5.6%増の128億5800万ドル(約1兆4013億円)。2位はメルク(98億7200万ドル、1.2%増)、3位はノバルティス(94億200万ドル、10.8%増)と続き、上位3社は日本円で1兆円を超えました。 売上高に対する研究開発費の比率では、米ギリアド・サイエンシズが40.6%でトップ。ギリアドの研究開発費は91億600万ドルで、前年から81.5%増加しました。イーライリリー(25.1%)やアストラゼネカ(24.8%)、ブリストル(23.5%)なども売り上げの2割以上を研究開発に投じています。 2020年は、ロシュが1ケタ台前半から半ばの売上高成長を予想。ファイザーは特許切れ医薬品事業を分離する影響で407~423億ドル(19年の業績に基づくランキングでは5~6位に相当)と大幅な減収を見込んでおり、上位の顔ぶれにも変化がありそうです。ノバルティスは1ケタ台半ばから後半の増収となる見通しで、メルクは461~481億ドル(前年比2%減~3%増)を予想しています。 米アッヴィは今年5月にアイルランド・アラガンの買収を完了しており、売上高は大きく拡大する見込み。セルジーン買収が通年で寄与するブリストルは400~420億ドルの売り上げを予想しており、さらに順位を上げそうです。アストラゼネカも1ケタ台後半から10%台前半の高成長を見込んでいます。 新型コロナウイルス感染症の影響を通年の業績予想に織り込んでいない企業もあり、各社の予想は今後、パンデミックの行方によって変動する可能性もあります。 (前田雄樹・亀田真由)
Copyright©